キーノートを通し見て要点を整理:Gemini Omni 世界モデル、3.5 Flash、Android がインテリジェントシステムへ、着けっぱなしのスマートグラスまで。
2026年5月20日午前1時(北京時間)、米国カリフォルニア州マウンテンビュー。
多くの人が「520」の贈り物を悩んでいる頃、Google CEO スンダー・ピチャイは冒頭で会場を一気に盛り上げた。「We are entering the Agentic Gemini Era」——いよいよ 「エージェント型 Gemini の時代」 へ。
わかりやすく言えば、これまでの Gemini はチャットで雑談する相手だったが、これからは あなたの代わりに仕事をこなす 存在になる。10年間唱えてきた「AI First」が、ついに製品の中に入り込んだ瞬間だ。
まず数字——会場がざわつく規模
ピチャイは登壇直後、息をのむ統計を並べた。
- Gemini アプリの月間アクティブユーザーは昨年の4億から 9億超 へ
- Google が月間処理するトークンは480兆から 3200兆 へ(1年で約7倍)
- AI Mode はローンチからわずか1年で月間 10億 アクティブユーザーを突破
- AI 概要(AI Overviews) の月間アクティブユーザーは 25億超
- 画像生成モデル Nano Banana はすでに 500億枚超 を生成
AI インフラへの投資も凄まじい。資本支出は2022年の 310億ドル から、2026年には 1800〜1900億ドル と見込まれ、ほぼ6倍だ。
一、Gemini Omni:「世界モデル」登場——手描きの円がブラックホールに
DeepMind のデミス・ハサビスが自ら登壇し、これは 「世界モデル」 だと説明した。あらゆる入力、あらゆる出力——テキスト、画像、音声、動画を受け取り、望む形式で返す。

デモは非現実的なほど印象的だった。白紙に円を描き、「この円をブラックホールにして」と言えば、Gemini Omni は短いアニメーションを生成し、引力による歪みまでそれらしい。要素が気に入らなければ、「ガラス建築をシャボン玉に置き換えて」と一言——シャボン玉どうしが物理的に衝突する。
Google 自身のジョーク:「Gemini Omni は動画版の Nano Banana だ」。
さらに深い意味では、Omni は画面を作るだけでなく、重力や運動量などの物理法則を理解し、最先端ロボットの操作訓練にも使われる。
Omni ファミリーの第一弾 Gemini Omni Flash は、Gemini アプリ、Google Flow、YouTube Shorts で既に提供中。Google AI Plus、Pro、Ultra 向け。Omni Pro は後続予定。
二、Gemini 3.5 Flash:タピオカより速い「電光石火」

Omni が「万能王」なら、Gemini 3.5 Flash は稲妻のような存在。ベンチマークでは前世代フラッグシップ Gemini 3.1 Pro を上回りながら、同クラスの最先端モデルの 約4倍 のトークン出力速度を実現。
本日より、Gemini 3.5 Flash が Gemini アプリ と検索 AI Mode のデフォルトモデルに。Google 内部の開発タスクで処理するトークンは、1日あたり約5000億から 3兆超 へ急増している。
三、Gemini Spark:24時間365日のパーソナル AI エージェント
Gemini Spark は、タスクを継続処理できる常時接続のパーソナル AI エージェント。Google Cloud 専用 VM 上で 24時間365日 稼働——スマホの電源が切れていても、バックグラウンドで複数アプリにまたがる複雑な作業(メール整理、スケジュール管理、ショッピング比較など)を実行できる。
Android の新 Halo 通知でエージェントの進捗をリアルタイム確認。Gemini Spark は 来週、Google AI Ultra 加入者向けに提供開始予定。

四、検索の進化:25年ぶりの最大アップデート
Google 検索は 25年ぶり最大 の刷新を迎える——もはやキーワードを当てるだけの入口ではない。
ユーザーは「完全なニーズ」をそのまま記述でき、AI が意図を予測し、動的レイアウトの 「生成型 UI」 を組み立てる。動画、画像、ニュースそれぞれに最適な表示形式。「ブラックホールはどうやってできるの」と検索すれば、結果に AI 生成の形成アニメーションが埋め込まれる。
Chrome と Android にも検索エージェントが標準搭載され、「24時間 AI コンシェルジュ」を作り、情報を追跡してバックグラウンド通知できる。
五、Android:OS から「インテリジェントシステム」へ
The Android Show の先行イベントで発表:Android は「オペレーティングシステム」から「インテリジェントシステム」へ 正式転換。Gemini Intelligence がスマホ、時計、車、ノート PC にシームレスに組み込まれる。
- クロスアプリの多段タスク:「メモの買い物リストをカートに入れてデリバリー注文」——電源ボタン長押しで一連の自動化
- Rambler:会話中の「えーと」「あの」「つまり」を整った文章に
- Create My Widget:「毎週高タンパクレシピを3つ」など一言でホーム画面ウィジェット生成
- Android 17 Beta を Tensor 搭載の全 Pixel 向けに公開
- Android CLI 1.0:Claude Code、OpenAI Codex などの AI コーディング agent が Android Studio ツールチェーンにプログラムからアクセス可能に
六、Android グラスが来た
今回の I/O で Android XR の実製品が初披露——Google × Samsung のコードネーム 「Jinju」 スマートグラス。重量約 50g、Snapdragon AR1、1200万画素カメラ、指向性スピーカー。
- オーディオグラス(音声 AI のみ):2026年秋 発売
- ディスプレイグラス(画面付き):2026年末まで に発売予定
Warby Parker、Gentle Monster などがパートナー。XREAL Project Aura は世界初の Android XR 搭載 AR グラスとして 2026年 にグローバル発売。
七、あらゆるものが Gemini に
- Google 検索 AI Inbox:Gmail をチャット形式で検索
- Ask YouTube:自然言語でシーンを検索し該当箇所へジャンプ
- Docs Live:音声対話でドキュメント作成・編集
- Universal Cart:クロスプラットフォーム比較・注文エージェント
- SynthID:AI 生成コンテンツのデジタル透かし
- Pics:Google Workspace の新 AI 画像デザインツール
料金と利用方法
| ユーザータイプ | 権益 |
|---|---|
| Google AI Ultra | 来週から Gemini Spark を先行体験 |
| Plus / Pro / Ultra | Gemini Omni と Gemini 3.5 Flash を利用可能 |
| 無料ユーザー | デフォルト検索と Gemini 基本機能の更新を同期 |
Gemini 3.5 Pro は来月正式登場。公式には競合の同クラスモデルの約半額の価格としている。
おわりに
ピチャイは言った。「10年間 AI First と言い続けてきたが、今日それが数十億人の日常製品に入った」——モデルはもう孤島ではない。Google は AI エージェントを検索、ブラウザ、スマホ、グラスに体系的に組み込んでいる。
用事を代わりにこなす Android、眠らない Gemini Spark、動画編集に「重力感」を持たせる Omni……約束された未来は、昨夜のキーノートで既に始まっていた。
(なお、通し見て朝 4 時——体が言っている。この keynote、本当に見る価値があった。)